風立ちぬ、いざ生きめやも 【風立ちぬ感想】
2013/10/06(Sun)
風立ちぬ サウンドトラック風立ちぬ サウンドトラック
(2013/07/17)
久石譲

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7月20日から公開してたこの映画ですが機会を逃しに逃しまくってようやく見に行ってきました。ジブリは集客が見込めるからか公開二ヶ月半後でもやってて嬉しい。ただし私が行った回が最後のレイトでした。お店の入り口のポスターももうなくなってたし。

ネタバレや感想ツイートなど極力避けてました。情報収集もほとんどせずまっさらな気持ちで。感想があっちゃこっちゃ飛んでまとまってなくて相当ひどいんですけど、それもまたまっさらな気持ちで書き綴ったものだってことで もしよければ続きへ~




この映画はあくまでも近現代を舞台にしたものだと思いますが、堀越二郎と堀辰雄が混じって描かれたのが本作の二郎であるように、そこそこのファンタジーも併せ持った映画であったなあともう最初の五分から思いました。少年二郎の夢のシーンが冒頭にあるんですが、これがもう……何の濁りも無い、澄んでいてただ美しい少年の頃の夢なんですよね。もう、あれがずっと監督の中にあったんじゃないかなって思う。あの風景が少年の頃からあったんじゃないかって。
でももっとファンタジーだったのはイタリアの飛行機設計師カプローニさんとの夢を共有するところですね。はいこっから私爆泣きですよ! 開始十分でこれですよ! まあ実際にはじわっと来る程度だったんですが、比喩表現として。二郎が近眼だからパイロットにはなれない、と言ってなら設計師になればいい、夢に形を与えるんだってカプローニさんが返して……飛行機の翼の上を歩いていて、感動したわりにうろ覚えであれなんですけど、カプローニが「飛行機は夢を乗せて飛ぶものだ」って言ってくれたところでもう…!もう…!
なんか戦争に使うものだとか、武器として、戦う為としてじゃない、そう言うんじゃない、ただ美しい夢そのものである象徴としてあるんだな、って。純粋でまっすぐで、子供のようなわがままにも感じられるその言葉にもう鷲掴みされました、ハートがね。映画も二郎もこのカプローニとの夢が原点でした。もうそっからはずーっとただ、自分が夢見た飛行機を作る二郎の姿を追っかけていく話で。
この二郎の飛行機ばかっていうか飛行機しか見えてない・そのことしか考えてない感じのまあ可愛いこと可愛いことw 鯖の骨とかやばいですねw 他の部分でも二郎めちゃ可愛いんですよw 戦闘機を飛行場まで運ぶのに牛を使うんですが「でも牛は好きだ」って返したりドイツの工場で「牛はいないね」って言ったりもうw あっこの人多分天然なんだw!

そうだ、菜穂子との出逢いをスルーするところだった。関東大震災の描写ですがこれもある意味ファンタジーでした。ファンタジーっていうかホラーですかね。まるで津波のような地震でした。ちょっとポニョも思い出したかな。いやホントあれは怖かった。その直前が菜穂子との出逢いのシーンだったから余計。
それにしても菜穂子とおきぬを助ける二郎の偉いいけめんなこと。か、かっこいい、声は朴訥なのになんだこのかっこよさははは。名乗らないで行っちゃうんだからな~きゃ~気障っ そんでこっからずーっと菜穂子出てこなくて菜穂子……あれ? って感じになるw ポスターとか菜穂子なのにあれっ…?? ずーーっと飛行機飛行機、本庄だしw 特に本庄とはナチュラルにおほもですごくよいと思いました…アッなんか誤解を招くような書き方ですがいい男友達かつライバルと言う意味で、です 声が八重の桜のあんつぁまこと覚馬を演じている西島さんなのですけど(二郎が庵野さんそのまんまなのに比べればずっと)声が自然だったので良かったです。江戸っ子っぽいというより漱石の坊っちゃんみたいな印象を受けました。彼も二郎ほどじゃないけど飛行機を作ることに全力な人で、だから貧乏な日本に憤ってる、ホントいい脇キャラでした。
黒川さんも服部課長も、二郎の会社の人みんなそう。戦争よりも、いい飛行機を作りたいって気持ちがあった。技術者…いいよう…… 黒川さんはちっちゃくて髪の毛がぴょこぴょこするのがすごい可愛いw 服部課長は声が私の好きな俳優さんの國村隼さんなんですが顔も國村さんだと思うw 

菜穂子の存在を忘れるくらいだったんですが七試艦上戦闘機のテストに失敗してから再登場するんですが…… この飛行機の無惨な姿が… ラピュタのロボットが横たわってる姿を思い出しましたね。
菜穂子と再会してそこからはもう直球過ぎる二郎w! 今まで恋愛になんか全然興味なさそうにしてたのにッ… 愛しています、結婚させてくださいってな感じですごいとんとん拍子にコトが進んでじぇ、ジェットコースター!て思ってたw 笑う場面ですかここはw って。だがそんな明るい話ではなくってだな…
そこで思ったのがもしかして菜穂子と飛行機は二郎にとって同一の存在だったのではないかなと言うことで。再会した時の風で飛んでくパラソルとかも菜穂子=飛行機のメタファーのような。最後まで美しい姿しか見せなかった(菜穂子は山へ帰り、戦闘機は一機も戻ってこなかった)のも似てるし。最後の夢のシーンでゼロ戦と共に菜穂子が出てくるのを考えるとやはり…と思うのだ。だから二郎が菜穂子にド直球なのも頷ける。
菜穂子と二郎の愛が描かれる場面は今まで見てきたジブリの恋愛シーンの中で一番リアルといいますか… キスシーン3回もあって! そもそもジブリでそんなちゅーとか見た覚えないし!?(覚えてないだけでいっぱいあるのかもと思うけど) 一番おおお!?ってなったのが初夜のシーンですよ!! えっジブリだよいいのジブリだよいいの監督!? ってめっちゃ動揺したやん! すごく菜穂子さんえろすやん! 匂い立ちますやん!
その後も燃えるようなラブではなくて淡々とした、でも息づいてる愛がねえ… 作図してるけどずっと手を繋いであげてるのとかもねえ… 結婚式のシーンもすごく好きでした。黒川さんの奥さんが結婚式やる気まんまんなのも可愛かったw それにしてもよくよく思い出してみると黒川さんちってすごい豪邸だった… 離れはあるし、池もあったよね? 黒川さんてそんな儲かるポストにあったの??って思ってしまう…

菜穂子はさすがに結核患者なので自分の死期を悟っているんですが、パンフレットにある、演じた美織ちゃんのコメントにも書いてあったように、生き長らえようと必死でいるんではなく、そうでなく、与えられた命の長さを精一杯生きようとしてる、その姿に胸打たれました。切ないし儚いし、でも潔くて。ユーミンも「全編に渡って時間がないと自覚している人達が大切に思い切り輝いて生きる姿が描かれていて」と書いてた。その輝き…美しくて、遠くにあって 現代だったらどうして、まだ生きられるよ、もっと長生きできる方法を…とか、若過ぎるよ…と思っちゃうけど。
今若過ぎるよ、と書いて思い出したのが主題歌にもなっているユーミンの「ひこうき雲」のフレーズ 「あまりにも若過ぎたと ただ思うだけ」 これに続くのが「けれど しあわせ」なんですね。ひこうき雲は十年前、自分が高校一年生だった頃に初めて聴いて衝撃を受けた曲だったのですが、不可解なフレーズが一つか二つほどあって、その一つがそれだったんですよ。
もともとユーミンが言っていたのもあるけど自殺した人の歌だと思ってたので、自殺して幸せって、まあそういうのもありだろうけど…ム~ンって悩んでたんですが、夭折した人の歌と言う解釈を与えられて、そしてこの作品があってやっとすんなり繋がった! 十年かけてやっとー!
ひこうき雲は「あの子の命はひこうき雲」と締められますが、いやホントに… びっくりするくらい「ひこうき雲」とシンクロ激しく… パンフレットではユーミンは「シンクロニシティですね」って書いてたけど これは、近々始まるツアーでも歌われると思うけど、十年間で抱いてきた印象とはまた違った印象で聴けそうです。

煙草のこと。うまそうに煙草吸うな…って思ってたんだけどあっそう言えば禁煙団体からクレームついてたんだったww って今更思い出したのw でも二郎も本庄もめっっちゃ美味しそうに吸ってて自分も吸いたいって思ってしまったw その辺りジブリのなせるわざですよ…美味しそうっていうのは…
そうですジブリ飯&ジブリスイーツの話ですよw 最初の鯖の味噌煮もめちゃ美味しそうなんだけど多分みんな食い付いたのはシベリアwww シベリアあれなんなの美味しそう!!! 見た目ティラミスみたいな感じなんですけど、調べてみたらカステラで羊羹を包んだものって…何だその発想わw! 食わせろw!

思いつきで書いてるのでいろいろ脇道に逸れてますが、カストルプさんが日本が破裂するまでをじわじわ二郎に一つずつ言ってくところ、あれは一種のホラーだと… 満州を作ったこと、ワスレル 中国と戦争始めたこと、ワスレル 国際連盟を抜けたこと、ワスレル… ひいー! カストルプさんそこでいなくなると思ったらちゃんと存在しててよかったw 半ズボン可愛らしい。ピアノ弾いて歌うところもすごく良かったー そっから二郎の直球プロポーズがあるわけですw
脇道それそれします。戦闘機飛ばすのに空母が出てきて、今艦これにハマってる自分は空母だ!空母ってこんななんだウオーッ! って興奮してたw 構造がどうなってるかもわからない初心者イェー まあ燃料が飛び散って真っ黒になる二郎と黒川さんも可愛いかったっすよ! 泡が泡が!あわあわ
そうなんですわ。艦これやってることもあって、艦これやる以前の自分だったら抱けなかった特別な感情を持って見ていたんじゃないかな…と思うところがあります。戦闘機も艦隊の船も、戦争以外で見てもらうべきものでもあったんじゃないかなって 飛行機が夢を乗せて飛ぶものであるように。でもやっぱり戦争ありきかな、例えば戦艦とかさ…でも戦争でしか見られないのなんてそんなの悲し過ぎるよね。機関銃がなかったらもっと軽くなる=飛べるのにって残念そうに言う二郎とか、カプローニさんの夢で引退する前に戦闘機なんだけどみんな乗せて飛ぶところとか、うるうるしてました。本当は戦争だけじゃないんだよって… 戦闘機なのに矛盾してるんだけど、なんだろう切ない矛盾かな…

飛行機は美しいが呪われた夢でもあるって言うのはカプローニさんが言った言葉だったはず。ちょっと違うかもですが。
空と言う何もかもを突き放す高みへ、それこそ神様のような空へ、多くの者が飛行機を飛ばせようとする。無垢なる笑顔で何もかもを奪ってしまう空……と書いてて、ものすごく聖なるもの、純粋なものであると同時にものすごく残酷なものであるような、それこそ人の命を奪うものという宿命も負ってしまった飛行機のことを指しているような 二郎が求めた純粋な夢の先の先にあったものは敗戦だったわけだし。一つの国を滅ぼしたんだからって言われちゃうんだから。皮肉であるけど皮肉と言うのもむごい。
最後は九試単座戦闘機のテスト飛行が成功して、そして菜穂子が高原病院へ誰にも何も言わず戻ってしまう流れなんですけど綺麗な音楽をバックに黒煙のあがる、敗戦を描くんですがそれは一瞬で、再びカプローニさんと夢を共有する。そこは飛行機の墓場でもあるところで、容赦なく二郎に自分の夢の殺された姿を見せつけてるところでもある。カプローニさんは先に書いたように一つの国を滅ぼしたんだからって言うけどそれさらっと明るく言っちゃうんですよね。君の夢は多くの人を殺したし国も滅ぼしたけどそれがどうした? って感じで。夢を追って何が悪いの? メフィストフェレスのようって演じた野村さんのコメントにあったけどまさしくそれ。健全なる狂気とも言えそう。

まあとにかく最後のシーンは容赦のなさが半端なかったですね。ずたずたに切り裂かれたものを見せつけられる感じが。これがジブリ映画のラストシーンで、いいのか?? って今振り返ったら思ってしまうw 二郎もぽかーんとしてる感じではあるけど受け入れるしかないと諦めている感じが何ともいえず…
自分のもとを離れて二度と戻ってこないもの、そして自分を突き放してしまうもの。飛行機と菜穂子が同一と書いたけど、さっき「ものすごく聖なるもの、純粋なものであると同時にものすごく残酷なものであるような」とも書いたけど、最後の菜穂子の言葉の“生きて”は最高の突き放し文句ですよ。生きてってものすごく励ましの言葉であるけど、ある意味最大の別れの言葉ですよね。ここで生きてっていわなければ、一緒に行きましょうとか言ってくれれば、二郎もそこで死んで自分の夢の王国に骨を埋められたかもしれない。菜穂子もいるまさしくユートピアのようなところに。
追い打ちをかけるように「君は生きねばならん」ってこれまたカプローニさんがさらっと言っちゃうんですよね。んじゃあ、生きて何をすればいいの? そう問いたかった。でもその答えは明らかになってない。多分二郎はそこから自分でまた探していくんだろうと思う。そこに至るまでの喪失感、ある意味普通の絶望より手痛い爽やかな絶望感、そして、諦めているけど、どこか諦めきれない希望、入り混じった最後だったと思います。ハッピーエンドじゃないけど、バッドエンドでもないって感じかな一言で言うと。ゲーム的に言うならバッドよりのノーマルエンドか?

結局何書いてるのかよーわかんなくなってしまいましたが、最初から最後まで素晴らしくて、もしかしたら今まで見た宮崎駿監督の作品でこれが一番好きかも知れないなって思いました。大人の為に作られたものだからかもしれない。一貫してアニメーションは子供の為にって思い続けてきた彼が初めて大人向けに作ったものだったっけこれ。
引退宣言がありましたし今度こそ本当に引退するんだろうなって思いますが、「風立ちぬ」見ちゃったら多分みんな「ああ本当に終わりなんだな、引退マジなんだな」って思うよ。それくらい彼の好きなものや描きたかったものが込められてる。好きなこと全力でやってるんだな、やっちゃったんだな、やりきったんだなって。そういう作品ってすごく引き込まれちゃいます。ぶっちゃけそこまで見る気力がなかったのだけど、ぐいぐい引っ張られたし。

いや本当にいい映画をありがとうございました。いいもの見れてほくほくでした。監督、長い間お疲れ様でした。だらだらした感想でしたがもし読んでる方いらっしゃいましたらこちらもありがとうございました。
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