もうひとりの奇術師 【普段は書かないあとがきのようなもの】
2014/07/25(Fri)
「TRICK Reflection -もうひとりの奇術師- 1」/「tamaki」の小説 [pixiv]
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=4016373

たまくしげ更新ざっきとは違いますが、自分の書いたものについてなのでこちらに。
今月上旬から中旬にかけてPixivで掲載したものについてのあとがきです。普段は「あとがきなどいらぬ」派なのでほぼ絶対書かないんですが(載せる時のコメントや、創作アカウントでの呟きは例外として)せっかくなので、と。
二次創作なのでTRICK知らない方には何が何やらですが、ふつうあとがきなど(文庫の「解説」とかとは違って)読んでくださった方向けなので、読後推奨です。発表する場所がここしかなかっただけですね。とEXTRAの前書きをそのままコピペしました。

とはいえたまくしげ掲載作品についても言及しておりますが。過去のこの更新りれきこの更新りれきで「TRICKの二次創作を書くために書いた」って言ってますものね… すべてはこの物語の為でした。

あとがきと言うよりは執筆雑話みたいな感じであるような。それでは続きに






◆Reflection
もともとは紫影のソナーニルRefrainのように“もう一度”の意味合いでRefrainにしようと思っていたのですが、鏡をモチーフにするなら“反射”の意味でReflectionの方がいいだろうなと言うことで変更しました。その方が語呂も良かったですし。
Reflectionは反射や反響の意味の他に「よく似た人」と言う意味もあるので、話に合っていたと思います。

◆鏡
これは何回目かのプチ考察記事でも言及したことなのですが、ラストステージを繰り返し見ていて、「何で加賀美さんは加賀美って名前なんだろう」と思ったことが今考えたらこの作品の始まりだったと思います。
多くは述べませんが、ラストステージは全てを逆転するかのような話で、依頼人の名前に「鏡」を仕込ませることは必然だったんだと思ってます。じゃあ、私がラストステージ後を想定して何か話を書くとしたら、同じように“鏡”を出さなくちゃ話にならないかな、と思って「次に何か書くとしたら鏡をモチーフにしましょう」と自分内会議で決まりました。
とは言え、最初は本当にそういう思いつきだけしかなく、奈緒子が最終的に記憶を取り戻すと言う結末以外、全く考えていませんでした。でもTRICK見直してると、鏡を使ったトリックてめちゃくちゃ一杯あったので、ちょっとびっくりしてました。不思議ですね、鏡と言うアイテムは。母之泉の最後の上田の浮遊トリックも、あれは多分鏡だと思うんですが、作中では「ガラス」と言っていたので、この話でもあくまでガラスと言う扱いにしました。

◆もうひとりの奇術師
鏡がモチーフと言うことでサブタイトルは速攻決まりました。TCG「アクエリアンエイジ」のエクスパンション・双児宮の鏡の、あづみ冬留さんの描いたキーイラストが昔からとても好きなイラストで、自分のパソコンの管理者画像にもしてるくらいなんですが、そのイラストカード「もうひとりの“魅良”」から取りまして、未良の名前もここから取りました。アマゾンのリンクで画像はりたかったのに出てこない…! もうひとりの“魅良”で検索していただけると画像が見れると思います。ほんとにすごく好きなイラスト。
もうひとりの、さて何だろうと思えばやっぱり奈緒子のことが話の重要なポイントになるんだし、ンジャア奇術師だな。ということでサブタイトル本決まり、それでもまだ話の内容は全く思いつきませんでした。まあEXTRAもタイトルだけ先にあって、徐々に決めていったのですが。
でも鏡と言うモチーフ・もうひとりの、と言うサブタイトル・奈緒子が記憶を取り戻す、と言う三つの要素から「鏡を見た時に奈緒子が思い出す」とオチが本決まりしました。なんかまるで三大噺のよう。とてつもなくベタなものですね。

◆学園ふたたび
EXTRAであんまり出来なかった学園ものっぽさをもうちょっとやりたかったので、またしても学園が舞台となりました。と言っても大したことは出来なかったのですが。
自分の作品で学校舞台のものと言うといつも文化祭が大きな山場になるのですが、この話もそうなりました。引き出しが貧困な表れのような気もしますけども、文化祭デートは書いてて楽しかったです。二人に異名がついたりご利益の噂にどんどんオヒレがついていったりするのは何となく森見登美彦っぽさをイメージしてたと思います。

◆もうひとりの奈緒子
鏡を見て思い出す、から、「もうひとりの自分」が映るいわくつきの鏡があって、それを奈緒子が見て~っていうのを考えたのですが全然面白くないどころか、そういうマジックアイテムが何の準備も雰囲気の高まりもなしに平然と出てくるのはいけない、と思い。何かしらの仕掛けがあって(こういうのを世間ではフラグと言う)それが全部整ってここぞとばかりに、と言うのならばわかるけれど、一応超常を否定するお話なのに、何の前触れもなくポーンと出てくるのは全然つまんないなと。(EXTRAはEXTRAのあとがきで書いたように目的が目的だったので仕方なくだしあくまでエクストラだから例外と言うことで)
だったら、じゃあ、物理的に「もうひとり」を出せば、と思って考えたのが花子で、それだったらもうひとりの上田もいるな、と用意したのが下村です。そしてインチキ霊能力者に相当する子を未良にしました。ここから後は結構スムーズで、下村をマッドサイエンティストみたいな奴で、奈緒子と花子の能力を狙っていて、舞台となる村は鏡を祀っている村で、とどんどん設定が出来ていきました。コミティアの作業をする傍ら、息抜きとして適当にいろんなネタを出したり会話だけの素描をポメラにぱちこち叩いてました。
なお「記憶が戻った時、怒りで上田に飛び蹴りをかます」も最初から決めてました。ていうかそういう絵面が真っ先に浮かびました。さすがに蹴ってる奈緒子は本編でもないだろうなーと思って見返してたら3の第一エピソードで蹴りかましてました…

◆主人公の逆転
ラスステ前の時間軸であるEXTRAはほぼ奈緒子視点で進んだ物語でしたが、「魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語」で主人公がまどかからほむらになったように、ラスステ後の物語は上田が主人公にならざるを得ないな、と思っていて――そもそも逆転したならば今まで主な視点人物であった奈緒子から視点が上田に移動するのは当然かなと…ラスステのエンドロールはそれの表れみたいなところもあるかなーとか(ていうかもし続きがあるなら、絶対上田が主演になる気がする)(キャストロールが仲間さん先じゃなくて阿部さん先になる、とか……ならないか)
そんなわけで思いつくシーンはどれもこれも上田のシーンばかりでした。これじゃ奈緒子の出番が! と思って花子と組ませ、花子パートを担当、上田が主に未良と下村を担当する感じになりました。視点人物として。
しかし、やっぱりTRICKは奈緒子と上田、この二人がそれぞれ主人公の物語なので、どちらもちゃんと主人公してるように読めるよう努力したつもりです。

◆二つの前日譚
大体の話の道筋を決めたのが五月中旬なのですが、全体の流れを見直した時に「未良が空気すぎる」と危機感を抱き、彼女の人物像や背景をもう少し固める為と、御鏡村と言う舞台を一回きりしかも二次創作の舞台で終わらせるのはもったいなかったのと、そして自分がこの物語で何を書きたいのか整理する為に、「鏡の里の鏡の少女」と言うこの話の前日譚を書きました。この話には下村は出てきません。あとこれは作者だけが知ってればいいんですが、この話の主人公の照葉は今回のお祭に遊びに来てて、未良と久闊を叙していた、と言う裏話があったり。そして未良は二人と別れた後、照葉に電話をかけて本当の奇跡を見たことを話すのだと思います。
そしてもう一つ、お話を考えるにあたって、TRICKにおいて悪ってのは何なんだろう、そして私が悪だと思うのは何なんだろう、と改めて思って、下村を情状酌量の余地のない悪人にする為に書いた話が「力の遺言」です。この小説を読んでしまうと下村の企みが大体わかってしまうので前日譚ではありますが大きなネタバレになってしまいますね……。

◆読者の鏡像
未良は作中で何度も鏡として描かれますが、上田の鏡像でもあり、奈緒子の鏡像でもある彼女ですが、一番読者の立場に近い存在として書いたつもりです。読者の鏡像と言いますか、読者の代わりとして謎を追究する立場なので彼女もこの話の主人公だったんだなーと今更なことを思います。村上春樹の1Q84のBOOK3で視点人物に昇格する牛河みたいなポジションなのかな。立場的にはふかえりに近い気がするけど。後で「狂言回し」と言われたので、ああそれだ! と思いました。

◆上田の呼び方
上田のことを「先生」と呼ばせたのは、「上田さん」と呼んだ時に記憶が戻ったことを端的に、かつ劇的に(なってるかどうかはわからないけど)表す為です。これはちょっと、山田南平「紅茶王子」の番外編「紅茶王子の姫君」へのオマージュでもあったり。が、書いててナチュラルに上田さんと書いてしまったところが何か所かあって慌てて直したりしてました。
この先生呼び、ものすごく違和感と言うか、里見や矢部はこう呼ぶけど(矢部はセンセ、って感じだけど)奈緒子がこんな風に呼んだところなんてほとんどないわけで(上田教授、ならあったけど)もうとにかく、うわー自分の創作って感じだなーこれ絶対受け入れられないだろうなあ……って結構気に病んだところでもあるので、もういっそやめようかと、かなりギリギリのところまで思っていたのですが、どうしても使いたい仕掛けでもあったので、押し切りました。皆さんの奈緒子像に違和感を抱かせて本当すみませんでした……

◆執筆期間・総文字・枚数
先に挙げた二つの短編を著して本格的に取り組み始めました。それと平行する感じで、TRICKのシリーズを見直し、主に奈緒子の能力やTRICKにおける悪などについて考察を重ねていました。ラスステの発売もあるし、その日までの復習も兼ねて。まあその所為で書き上がるの遅くなったんですけど……。
とりあえず6月中に終わらせよう、と、9までは地の文つきで大体完成してたんですが、11からは真っ白で、セリフだけ出してそれが終わったのが6月29日(地の文ほぼなし)そこから肉付けしていってほぼ完成稿になったのが7月8日でした。で、それから結構ぎりぎりまで加筆してて、DVD発売しても書いてたっけ……なので執筆期間は前日譚も合わせると大体二ヶ月くらいだと思います。コミティアで出した創作は500枚以上で約半年かかったのに……二次創作ってすごいな。あ、でもあらすじ二割の気持ちも入ってるので(上田の言葉を使うなら「普段の七割程度の力」……って何だ、偉そうに)腸完全版になったら多分500枚以上になってた……恐ろしいな……。
なお単純計算で恐縮ですが、Wordファイルの文字数全部足して191547文字(少なくとも19万字はある) 原稿用紙換算478枚! でした。初めて最初から最後までポメラを使って執筆しました。普段はWordで縦書きで書きますが、Pixivで掲載するのでずっと横書きで。お蔭で縦書きの感覚を忘れてしまったかもです。あかん。掲載前にWordに流して、そこでさらに修正たまに加筆を加えてぴくしぶにどん。です。

◆違和感
大体何を書いてもこれは何か違うなあと感じていて。それはやっぱりラストステージがスキマなく終わってしまったからだった為だと思ってます。勿論あれで良かったと思ってますし、いろいろ考えを変えつつもあれ以外の終わりは無かったと思います。
だから「その後」の話を考えるのは何ともしんどいというか実に意味のないことだなと思ってました。私の動かす奈緒子は奈緒子であって奈緒子でないし、上田もこれが正解なのか…? と。「TRICK好きな人にとって、これは受け入れてもらえるような話になるんだろうか」ってずっと思ってました。今でも。EXTRAでそこはかとないクトゥルフを持ち出した奴が今更何言ってるんだと言う話ですが。
二次をやってる人は誰もこういう気持ちになるのかな…たまにしかやらないどころか、もう二次は二度と書かないだろうと思ってたので尚更悩ましかったです。
しかも私は上田を書くのが本っっ当に苦手で、上田の部分だけ誰か別の方にゴーストライター頼みたかったくらいですw

◆違和感その2
一番加筆修正の段階でうんうん悩んでたのが13・14・15、起承転結の結に当たるところで。13のキャプションで「ここで終わってもいいんじゃないか」と書きましたが、別に無理に記憶戻す必要ないんじゃないいかなあと思ってしまって。
でも記憶戻すことを目的に書いてきたし、もう書き上げちゃってるので上げるんですが…実際上げてるし 何をそんなに悩んだかと言うと、記憶を戻すのは上田のエゴではなく、作者の私のエゴなので、それを他人の創作物であるものに押し付けるのはどうなんだろうなあ…って言うことを、すごく悩みました。本当にそれこそ私の自分勝手で、自分の理想の形に捻じ曲げたいだけじゃん、って。あと14の最初の上田のモノローグシーンは書き上げてから加筆したものなのですが(上田の心情描写が不足していると感じたので)上田側の気持ちを私が決めつけてしまっていいのかっていうこれまた今更なことに悩んで。あー二次創作って難しいな!! って本当思いました。もう! 創作に帰る!(創作も難しいよ…)


◆名前小ネタ
未良の名前は4のキャプションにある通りmirrorからのネーミング(+元ネタから)と言う今時そんな単純なものないよ、と言うくらいベタなネーミングでしたが、「奇跡」がこれほどまでこの物語で重要なキーワードになるとは思わなかったので、「そういえばミラってmiracleのミラでもあるんだな」と気付いた時はそれこそ今更、でした。
花子と下村はそれぞれ奈緒子と上田の鏡合わせの存在なので、名前も対になるようにしなきゃ、と。いろいろ考え山の反対の谷、上の反対の下、を使いました。下の名前は、これは未良とも連動する話なのですが、鏡の話でもあるし字繋がりで、そして一応自分の専門の作家である泉鏡花からそれぞれ取りたいと思い、泉を未良に、鏡花の花を花子に、そんで鏡花の本名の鏡太郎の太郎を下村にそれぞれ振り分けた感じになりました。太郎だと次郎とも対になるし、花子とも対になる名前だし、ちょうどよかったです。あと「あー泉って母之泉の泉にもつながるなー、やったー偶然じゃー」と暢気に思い無理やり花子にみんなのお母さんって感じですって言わせたみたいな気がします。

◆自作品小ネタ
別に意図したわけじゃないんですが、今まで自分が書いたいくつかの上山短編が伏線になっちゃったようになりました。1122番助手や、悪魔の証明云々のことや、上田が奈緒子の否定の証明になると言うのは「物理の証明」で、次郎号の助手席はただ一つっていう台詞は「物理学者の終末」からで、奇術を馬鹿にしたらいけないってことは「睦み言には程遠い」、ベストマン覚醒は「いかなる時も、愛する時も」人が人を好きになることこそ一番の超常、不可思議と言うのは「TRICK EXTRA -世界の果ての空の海-」から、ですね。「月世界で逢いましょう」とか例外もありますけど、なんか本家みたいに今までの集大成みたいな感じでいいじゃないですか(何)

◆モチーフ小ネタ
「鏡の国のアリス」は最初そんなに大きく働かない、におわせる程度でいいかなーと思ったら結構大きく働いてくれたのでラッキーかなーと 「白雪姫」も途中から組み込んだにしてはなかなかいい仕事してくれたような気がします。猛毒とか、毒林檎と言うアイテムとの共通点で誤魔化せた!(そんな)

◆どうでもいいこと
いえ、ちっともどうでもよくないかも知れないんですが、多分脚本ではきっと「餃子と寿司」なんでしょうけど(ブックレットとかでもそうですし)私が劇場で奈緒子の台詞で聴いた時「餃子とお寿司」と、「お」がついてるように聞こえたので、ずっとこの表記で書いてます。今更逐一変えてまわるの結構しんどいのでそのままこれでいってます。許せない人には許せないだろうな……すいません。

◆雑談
あとで、トリックのことはわかるけどべつだん上山アイを持たないフォロワーさんに読んでいただいたら「記憶が戻るとは思わなかった」と言われてひょっ!?って思いました。「上田が鏡をみたらなかの山田だけアレが戻っているという話なのだと最初から思っていた」ってそっちの方がつらいわ!!さらなる虚無沼におとすなw! と思ったので私はこの話かけてよかったとおもいます(しみじみ) 「戻ったあともラストまでにはまた失うんだろうと思って疑わなかったほど」 さらにつらい。やめてくださいしんでしまいます 私の二か月間はなんだったのかとw

あと他に言いたいことは全部話の中に書いたので、作者がちゃべちゃべ言うことではないので、このへんで失礼します。作中に盛り込まれた小ネタはわかる奴だけわかれの精神で盛り込んでます。全部わかる人は多分いないんじゃないかしらね… 花アンネタは渾身の白蓮ネタとか結構気に入ってます。それではごきげんよう、さようなら。
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